特集 ホルモンと生理活性物質
各論
2.下垂体前葉ホルモン系
6)TSH
木村 博典
1
,
長瀧 重信
1
Hironori KIMURA
1
,
Shigenobu NAGATAKI
1
1長崎大学医学部第1内科
pp.91-94
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902184
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生合成・分泌・機能
1.生合成
甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone,thyrotropin;TSH)は下垂体前葉細胞から分泌される,分子量約28,000の糖蛋白ホルモンである.糖鎖が付加されたαサブユニットとβサブユニットの2つのサブユニットから成り,各々のサブユニットは異なった染色体上の異なった遺伝子にコードされていて,独立してプレホルモンを経て生合成される.αサブユニットはTSH,LH,FSH,hCGで共通であるが,βサブユニットはTSHに特異的である.したがって,TSHのホルモンとしての特異性はβサブユニットに基づいている.αサブユニットは89個のアミノ酸から,βサブユニットは112個のアミノ酸から成り,それぞれに糖鎖が付加されている.ホルモンとしての作用を発現するためには,αサブユニットとβサブユニットが結合して一定の立体構造を保つことが必要である.
TSHの遺伝子の発現および蛋白合成は多くの因子によって調節されている.その中で主要な因子は甲状腺ホルモンとTSH放出ホルモン(thyrotropinreleasing hormone;TRH)である(図1).
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