今月の主題 甲状腺疾患診療の進歩
検査
TRHによる検査とTSH
稲田 満夫
1
Mitsuo INADA
1
1京都大学医学部・第2内科
pp.688-689
発行日 1980年5月10日
Published Date 1980/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216509
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視床下部-下垂体前葉-甲状腺系とその調節
甲状腺機能は,視床下部-下垂体前葉-甲状腺系のフィードバック機構によって調節されている.すなわち,視床下部よりTSH放出ホルモン(thyrotropin releasing hormone,TRH)が分泌され,それは下垂体門脈を経て下垂体前葉に達し,TSHの分泌を促進する.
TSHは,甲状腺濾胞に作用して,甲状腺ホルモンの合成,分泌を促進させる.視床下部よりのTRH分泌,下垂体前葉よりのTSH分泌は,血中T4およびT3濃度により調節され,それが低下すると,視床下部および下垂体前葉に働き,TRHおよびTSHの分泌が促進される.一方,血中甲状腺ホルモンが過量になると,TRHおよびTSH分泌が抑制される.このように,視床下部-下垂体前葉-甲状腺系は,図1に示すように機能的に一つのループをつくりネガティヴ・フィードバック機構によって,血中甲状腺ホルモンレベルが一定に保たれる.
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