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ミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病
小田辺 修一
1
,
佐倉 宏
1
,
門脇 孝
1
1東京大学医学部第三内科
pp.239-240
発行日 1994年3月1日
Published Date 1994/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901838
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ミトコンドリアとは,日本語では糸粒体と訳されており,その名が示すとおり細胞内に存在している長さ3〜4μmの糸状の細胞小器官である.このミトコンドリアは,細胞質(核質以外の原形質)にある小器官の中では,最大の物であり,心筋などエネルギー消費の大きな臓器では,細胞当たり数千個も存在し,その断面積の3分の1を占めている.
そのミトコンドリアの役割は,エネルギー消費の大きい臓器に豊富であることが示すように,酸素呼吸,つまりは,1分子のブドウ糖から38分子のATP(アデノシン3リン酸)の合成の場であり,体内のおけるエネルギー工場である.ヒトのミトコンドリアDNA(mtDNA)の特徴は,16,569塩基対の環状二重鎖DNA(図)で,また核の二重らせん構造をとるDNAとは異なり,遺伝形式はメンデルの法則には従わず,母親からのみ子供へ遺伝する母系遺伝である.
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