増刊号 臨床化学実践マニュアル
II.日常検査における異常値への対応
10.薬物
薬物
西原 カズヨ
1
,
伊賀 立二
1
1東京大学医学部附属病院薬剤部
pp.170-176
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901524
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はじめに
薬物の血清中または全血中濃度測定における正常値の概念は,一般的な生化学検査値と異なる.生化学検査値は,ヒトが健康体を維持するために本来必要とされ保持している生体成分について,健常成人での平均的な値を正常値として用いている.
一方,血中(血清中および全血中を含む)薬物濃度は本来生体中に存在しない薬物を患者に投与したときの血中濃度であり,その投与量は患者ごとに異なり,生体からの消失速度も個体差がある.そのため,生化学検査値の正常値に対応するものとしては効果と濃度との関係が得られている薬物としては治療血中濃度が,その他の薬物では常用量を投与したときの平均的な血中濃度になるであろう.
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