増刊号 臨床化学実践マニュアル
II.日常検査における異常値への対応
6.酵素成分
(11)LCAT
牧瀬 淳子
1
1横須賀共済病院中央検査科
pp.144-147
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901518
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1935年,Sperry1)は,血清を放置するとコレステロールエステル〔ester cholesterol:EC(=CE)〕が増加する現象を見つけ,血漿中にコレステロール(free cholesterol;FC)をエステル化する酵素が存在することを示唆した.次いでGlomset2)は放射性同位元素を用いた研究により,レシチンのβ位脂肪酸をFCの3β-OH基に転移し,ECを生成するというレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(lecithin cholesterol acyltransferase;LCAT;EC 2.3.1.43)の存在を明らかにした.
このLCATは肝臓で生成され,流血中でリポ蛋白に作用しFCのエステル化反応を触媒する酵素であり,血中および組織の脂質代謝に関与している.この反応の活性化にはアポAI蛋白が必要であり,アポAII蛋白はLCATを阻害すると考えられている.その生理的役割についてもしだいに明らかにされてきた.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.