増刊号 臨床化学実践マニュアル
I.緊急検査への対応
3.浸透圧
越川 昭三
1
1昭和大学医学部附属藤が丘病院内科
pp.22-23
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901473
- 有料閲覧
- 文献概要
■血清浸透圧測定の意義
1.浸透圧の生理的意義
血清浸透圧が生体において果たしている役割は,細胞内外の水の移動を調節することである.膜を隔てて2つの溶液が存在するとき,水は浸透圧の高い液のほうに移動する.生体では細胞膜を境にして細胞内液と細胞外液が存在する.細胞外液の浸透圧が高くなると,水は細胞内から細胞外に移動し,逆に細胞外液の浸透圧が低くなると,水は細胞外から細胞内に移動する.
赤血球を生理食塩水液に入れると何の変化も起こらないが,濃い食塩液に入れると縮小して金平糖のようになり,薄い食塩液に入れると膨れ上がって溶血する.生体内では,細胞容積がこれほど大きく変化することはないが,細胞容積の変化は細胞機能に影響を及ぼす.それが端的に臨床症状となって現れるのが中枢神経系である.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.