トピックス
Campylobacter jejuniとギラン・バレー症候群
高橋 正樹
1
,
斉藤 香彦
1
1東京都立衛生研究所微生物部細菌第1研究科
pp.82-83
発行日 1993年1月1日
Published Date 1993/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901388
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1977年,Skirrowはヒトの新たな下痢症起因菌としてCampylobacter jeiuniの重要性を指摘した.以来,数多くの本菌による集団例,散発例が世界各国で明らかにされ,C. jejuniの腸炎起病性に対する認識は急速に高まった.一方,1980年代初頭より,本菌罹患後ある期間を経て,関節炎,ライター症候群,出血性尿毒症性症候群およびギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome;GBS)などの症状をきたす,いわゆる“後感染性疾患(postinfectional diseases)”の症例が漸次報告されるようになった.これらの中で,特にGBSを発症した症例は多く,C. jejuniとGBSとの関連性が注目されている.本稿ではその周辺にスポットを当て,最近の知見を踏まえながら概説したい.
GBSは急性に脱力,四肢の運動麻痺,顔面神経麻痺などの,一連の神経症状を主徴とする急性多発性神経炎(acute idiopathic neuropathy)で,臨床的には神経障害の優位差により脊髄神経型,脊髄神経および脳神経型など6型に分類されている.病理学的には末梢神経系(I〜XII脳神経,脊髄神経,後根神経節,交感神経および神経節)の髄鞘破壊(脱髄)を主な病変とした,自己免疫疾患のカテゴリーに分類される疾患である1).
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