特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
2.自己免疫疾患の検査
5)自己抗体
(12)抗PCNA抗体
高崎 芳成
1
Yoshinari TAKASAKI
1
1順天堂大学医学部膠原病内科
pp.209-211
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900850
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はじめに
抗PCNA抗体は1978年,宮地らによって全身性エリテマトーデス(SLE)の患者血清中に特異的に検出される抗核抗体(ANA)の1つとして報告された1).宮地らはこの抗体が肝,腎などの実質細胞とは反応せず,増殖を続ける培養細胞やマイトーゲン刺激を受けたリンパ球などの核抗原と特異的に反応することを明らかにし,その対応抗原を増殖性細胞核抗原(proliferatingcell nuclear antigen;PCNA)と名付けた.
その後,この抗原の生物学的および生化学的特性が検討され,細胞周期の1ate G1 phaseに特異的に核内に出現し,分子量34kD,等電点4.8のポリペプチドよりなる酸性核蛋白であることが示された2,3).その結果,Bravoらによって増殖性細胞に特異的に出現する物質として報告されたサイクリンと同一の分子であることが確認され,さらにPCNAはDNAポリメラーゼ―δの補助蛋白としてDNA複製の際,3'末端より5'末端に向かうleading strandの合成に不可欠な物質であることが示された4).
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