増刊号 尿検査法
I.総論
4.腎機能検査の意義
(3)近位尿細管
鈴木 誠
1
,
若林 良則
1
,
川口 良人
1
1東京慈恵会医科大学第2内科
pp.44-46
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901063
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近位尿細管(PT)は原尿の70〜80%を再吸収する.Naは細胞間隙の受動輸送のほかに細胞膜を通過する機構として,Naチャンネル,Na共輸送,Na交換輸送の3つの経路で再吸収される(図1).
溶質のうちPO4,ブドウ糖,アミノ酸はこの共輸送によってNaとともに細胞内に運ばれる.HCO3は原尿の85%が再吸収される.Na/H交換輸送で管腔内にHが分泌されH2CO3となり炭酸脱水素酵素によりCO2とH2Oに分解される.分泌されるH+は細胞内においてH2CO3から与えられるので,残ったHCO3-はNa共輸送により血管側へ再吸収される.総和としてHCO3を再吸収することになる.またPAHは2カルボン酸交換輸送によって血管側から管腔側へ排泄される.薬剤は血管側と管腔側のpHの違いにより非イオン型が受動輸送により管腔側へ移行する.また管腔側による能動輸送(ATP-dependent multidrug transporter)によっても排泄されると考えられている.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.