今月の主題 水・電解質と酸塩基平衡
酸塩基平衡の理解のために
腎での調節—近位尿細管
佐々木 成
1
1東京医科歯科大学・第2内科
pp.2186-2188
発行日 1989年10月10日
Published Date 1989/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222895
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●近位尿細管での尿酸性化
糸球体濾過された原尿は尿細管で酸性化される.どの程度酸性化されたかを定量するためには,尿細管液のHCO3,滴定酸,アンモニアを測定すればよい.近位尿細管終末部での測定によると,このセグメントでは糸球体濾過されたHCO3の85%が再吸収され,尿pHは7.4から6.8へ低下している.同時に尿中排泄されるアンモニアの90%,滴定酸の65%がこのセグメントで生成されている1).ただし,糸球体濾過されるHCO3は4,000mEq/dayであり,一方,尿中のNH440mEq/day,滴定酸20mEq/dayなので,量的に考えるならば,近位尿細管の尿酸性化の主体はHCO3再吸収である.このため,近位尿細管での尿酸性化障害では尿中へのHCO3漏出を生じる.
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