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尿沈渣検査用スライドの有用性/わが国における太平洋裂頭条虫症の報告例
小泉 文明
1
,
宮原 道明
2
1東北大学医学部臨床検査診断学教室
2九州大学医療技術短期大学部
pp.1232-1233
発行日 1990年8月1日
Published Date 1990/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900359
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尿中有形成分の観察は,定性検査とともに各種疾患のスクリーニングに臨床応用されている.しかしながらその方法はまちまちであり,欧米では非遠沈尿を計算盤を用いて直接測定し,μl当たりの数で表現する場合が多いのに対して,わが国では遠心分離後の沈渣を鏡検し,1視野当たりの数で表現するのが一般的である.
一方,沈渣の鏡検には多くの時間と労力が費やされるとともに,①遠心後,尿をデカントするか,あるいは沈渣が一定量となるようアスピレーターを用いて吸引するか否か,②遠心ならびに鏡検に用いる検体量,③遠心時間ならびに回転数,④染色の有無など,標本作製に際して統一された方法がない.したがって,各施設間でのデータのバラツキが予想されることから,その標準化が以前から提唱されてきた1).また遠心分離後の残渣をスライドグラス上に滴下し,カバーグラスをかける際,時に標本の厚さが不均一となり鏡検部位により有形成分の数が大幅に異なるなどの問題点も指摘されてきた.
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