Japanese
English
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リグラ状幼裂頭条虫症の1例
A CASE OF SPARGANOSIS MANSONI
浜田 純一
1
Jun-ichi HAMADA
1
1順天堂大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Juntendo University School of Medicine
pp.525-527
発行日 1966年5月1日
Published Date 1966/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204371
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I.緒 言
リグラ状幼裂頭条虫症は本邦特に京阪地方に頻発する固有の寄生虫症で,本邦以外では朝鮮に割合多く見られる他,東洋,米国,豪州,アフリカ等に僅少の報告を見るに過ぎない。本虫の人体寄生例は初めてScheube(1881)により京都に於て観察されたが,この時獲られた虫体はLeuckart(1886)によりリグラ状裂頭条虫(Bothriocephalus liguloides)と命名された。Scheubeの発見の翌年,Mansonは一中国人の剖検に際し,右胸腔より1条,腎臓周囲より11条の寄生虫を発見しているが,之はCobbold(1882)によりLigula mansoniと命名されている。本虫の名称については,その後幾つかの名称が与えられたが,結局Diphyllobothrium mansoni(Cobbold)Joyeux 1927,と呼ぶ事に落着き,又その後幾多の研究により発育環,感染経路も明らかにされてきた。本虫の人体寄生例は安藤1)(昭15)によれば144例,又その後佐藤2)(昭34)は172例に達すると述べており,それ程稀なものでないが,流行地以外では殆んど観察の機会なく,関東地方での報告は僅少である。吾々は最近1例を経験し,虫体を摘出し得たのでここに追加報告したい。
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