FOCUS
腎性貧血の最新治療と臨床検査
倉賀野 隆裕
1
1兵庫医科大学循環器・腎透析内科学
pp.1194-1196
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209140
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はじめに
腎性貧血治療は従来,赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis stimulating agents:ESA)と鉄剤を用いて行われてきた.ESAは遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(recombinant human erythropoietin:rHuEPO)として臨床使用されて約30年が経過し,その安全性と有効性は確立されている.
一方で低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(hypoxia inducible factor-prolyl hydroxylase:HIF-PH)阻害薬が,2019年に初の経口腎性貧血治療薬としてわが国で承認され,臨床使用されている.HIF-PH阻害薬は,内因性エリスロポエチン(EPO)の産生を誘導し造血を促す.さらに鉄調節因子である二価金属輸送体-1(divalent metal transporter-1:DMT-1),duodenal cytochrome B(DCytB),トランスフェリン,トランスフェリン受容体(transferrin receptor:TfR)などの生体内で鉄の輸送・吸収を調節する遺伝子を誘導することにより,消化管からの鉄の吸収の亢進や貯蔵鉄の有効な造血への利用を促す.よってESAとは異なる機序で腎性貧血を改善させる1).
新規治療薬が登場しても貧血治療を行う際に必要な臨床検査に変わりはないが,臨床検査結果の解釈が若干異なるので注意が必要である.
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