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「学生,誰も反応してくれない(涙)」と同僚(50代,男性)がうな垂れていた.そう,同僚と私は検査の某学校で病理学の講義を担当することになり,同僚は第1回目の講義を担当した.病理検査学ではなく,病理学(総論&各論)だ.臨床検査技師が教えるにはハードル高くない?……と思う.まぁ,私は,“がんゲノム”や“感覚器”など,休日に好きな項目(全体の1/3ほど)だけ担当するのですがね(すまん,同僚,あとは頼んだ).「新しい先生で学生も緊張してるんやろ」と励ましておいた.落ちこぼれだった柳田が,学校で講義を担当しているなんて……母校の先生方が知ったら,ひっくり返って驚くだろうな,マジで(柳田はこんなに大きくなりましたよ,先生方!).
第2回の講義は私が担当.とりあえず自己紹介.「病理学を担当する柳田です」(学生無反応)「学生時代,落ちこぼれで国家試験は合格できないだろうと言われていました.こんな私でも合格できたので,絶対に最後まで諦めないでほしい!」と,熱すぎる気持ちを語る通常運転の私(学生無反応).「検査技師になって,患者さんや社会のために頑張りましょう!」と,これまた熱すぎる気持ちを語る私(学生無反応).……わ,若者の心をつかむって難しい(涙).「……はい,では染色体の異常について講義します」とヨボヨボしながら教科書を開いた.その瞬間,ザザッ,ペラペラ!っと一斉に教科書を開く音が.「ヒトの染色体は46本あって……」と話し始めると,教室中にカリカリカリ!とノートに書きこむ音が一斉にする.その音と姿勢に圧倒される私.なんだ,この張り詰めた緊張感と学問への積極的な前向き圧力! くっ,いかん,この圧力に負けそうだ!(汗)
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