FOCUS
輸入感染症—耐性菌を中心に
柴山 恵吾
1
1国立感染症研究所細菌第二部
pp.684-687
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208043
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はじめに
世界では新たな薬剤耐性菌が次々と出現し拡散している.海外では,日本国内でまれな薬剤耐性菌がまん延している地域もある.薬剤耐性菌は医療アクセスがよい先進国だけでなく,発展途上国でも深刻な問題となっている.発展途上国で薬剤耐性菌が多いのは,さまざまな抗菌薬が処方箋なしで店頭で購入できるなど抗菌薬の適正使用があまりできていないことや,病院のなかでの院内感染対策が十分でないことなどが原因とされる.
薬剤耐性はさまざまな菌種で存在するが,本稿では海外から持ち込まれる可能性が高いもので日和見感染の原因となり,さらに感染症を発症した場合に有効な抗菌薬が極めて限られるなど,特に注意を要する薬剤耐性菌に焦点を当てる.このような薬剤耐性菌の頻度について,日本,ならびに海外の例として中国,米国,英国,イタリア,スウェーデンの状況を紹介し,海外との比較から日本の特徴を述べるとともに,海外滞在歴のある患者を受け入れる場合に輸入感染症として持ち込みに特に留意すべき薬剤耐性菌について説明する.
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