医療事故を防ぐ! 対策を絵に描いた餅としないために 5
たかが採血,されど採血
本村 和久
1
1王子生協病院内科
pp.865-868
発行日 2006年5月10日
Published Date 2006/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100648
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医師が行う手技のなかで,もっとも基本的な手技は採血と言えるだろう.しかし,その教育方法にスタンダードはないようだ.ここでは,医師だけでなく,医学生,検査技師を含めた採血方法の指導の実際について報告したい.
教育は業種を超えて
クリニカルクラークシップ(診療参加型臨床実習)と呼ばれる,医学生への臨床教育が進んでいる.従来の講義中心の教育から脱却を図り,実際の臨床現場に出て,生きた知識,技術を習得してもらおうという試みである.以前は手技に関しての規則はなかったが,厚生労働省から医師の指導のもと,手技を行うことが明確化された.当院では,基本的なオリエンテーションを指導医が行い,採血手技に関しては,後期研修医が指導を行うこととした.「駆血帯をいつ巻くのか?」,「採血管の位置は?」など,知っているようで知らないことも多く,研修医が自らの知識を再確認する意味もある.しかし,手技というものは,やり方を理解しても,経験を積まないとうまくはならない.そこで,どう実習を行うかが問題となる.沖縄県立中部病院では,検査技師が外来の採血業務を行っているが,これを患者さんの同意のもと,手伝う形で採血業務実習を行うようにしている.経験豊富な技師の手技の横で経験を積むことはなによりの上達へのステップとなっている.
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