トピックス
臨床検査技師そして臨床エンブリオロジストとして
西 博子
1
1レディスクリニックコスモス培養室
pp.1215-1218
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207391
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はじめに
「将来子どもが欲しい」「親に孫の顔を見せてあげたい」など,将来の家族像を思い描き,そのうち自分も親になるだろうと考えた経験はあるかもしれない.では,「もしかしたら自分(もしくはパートナー)は出産できないかもしれない」,そんなことを考えた経験はあるだろうか.
現在,わが国で不妊に悩むカップルは5.5組に1組といわれており,なんらかの不妊治療を受けている人は50万人と推測されている1).最近ではSNS(social networking service)の普及により,以前と比べ不妊治療が語られる社会に変化しつつあるようだが,この治療を支える生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)での生産率が意外と低いことはあまり周知されていない(図1)2).そのため,治療を繰り返しても期待どおりの結果にならないことも多く,患者からは「出口のないトンネルに入り込んだようだ」とよく表現される.
このような背景の下,ARTの現場で卵子や精子を扱い,胚を培養・移植・凍結することで,医師らとともに患者の挙児希望に応えようとするのが臨床エンブリオロジストや生殖補助医療胚培養士である.この資格はいまや世界一の不妊治療大国となったわが国では欠かすことのできない存在となっている.
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