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デジタルパソロジー時代における臨床検査技師の役割
加島 志郎
1
,
山形 寿美代
1
,
福岡 順也
2,3
1兵庫県立淡路医療センター検査部・病理診断科
2長崎大学大学院医歯薬総合研究科病理学/病理診断科
3亀田総合病院臨床病理科
pp.1219-1222
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207392
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はじめに
病理医の絶対数不足のため,地方の基幹病院クラスであっても常勤病理医を確保することが困難となり,タイムリーな病理診断が難しい(外注によるタイムラグの発生など),あるいは病理医がいてもダブルチェック体制を実施することができない(いわゆる“1人病理医”問題)など,多くの医療機関において病理診断精度の担保に恒常的なリスクを抱えていることは,臨床検査技師の観点からもよく知られていることでしょう.
年来続くこの深刻な問題を解消するための“遠隔病理診断”という発想は,日本では1980年代後半から具現化され,顕微鏡の静止画像をメールに貼付する方法,ネット経由で顕微鏡を遠隔操作し画像を通信回線経由で入手する方法などによって実施されてきました.黎明期・初期のこれらの手法は“テレパソロジー”と呼ばれていました.これが病理のデジタル化の始まりです.
近年になって,スライドガラスを完全にデジタル化するスキャン技術が進歩して“デジタルパソロジー”と呼称されるようになると,デジタル化は“テレパソロジー”といった限局的な使用目的のみならず,病理診断のワークフローにおいて変革を迫る大きな波として押し寄せてきています.
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