論壇
臨床検査技師としての条件
中 甫
1
1東京・三井記念病院中央検査部
pp.476-477
発行日 1971年5月15日
Published Date 1971/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907191
- 有料閲覧
- 文献概要
3つの条件
毎年検査室に新しく就職してくる若き検査技師に私が必ず話すことばの中に,検査技師としての条件がある.最もたいせつな条件を第1に話し,次々に3つの条件について説明し,最初の課題としてもらうことにしている.それは,(1)検査法の手順に従って忠実に確実に検査を行なうこと,(2)創意くふうをこらし能率に留意すること,(3)自己の能力を最大にいかすことである.これがすべてであるとは決して思わないが,われわれがまず第1に心がけねばならないことであると信じている.次にこれを具体的に解説してみよう.
臨床検査には数多くの方法がある.これらの1つ1つは決して偶然生まれたわけではない.測定法の途中で加えるわずかな試薬も,その背景には,数限りない検討が加えられていることを知らねばならない.検討なしの我流や近道は許されないのである.これは検査法すべてが完全なものであるということを意味しているのではない.多くの検査法はまだまだ改良の余地が残っている.しかしその原法に忠実に従って得たデータなしには比較はできないのである.この誤ちは定性検査において特に犯しやすい.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.