オピニオン
臓器移植病理診断におけるone-day-pathologyの重要性
羽賀 博典
1
1京都大学医学部附属病院病理診断科
pp.336-337
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206407
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“one-day-pathology”とは
one-day-pathologyはおそらく和製英語で,英語文献で見かけるsame-day diagnosisとほぼ同じ意味と理解している.ここでは,当日受付したホルマリン固定病理組織検体を,パラフィン包埋・薄切・染色して,同日中に病理診断して報告するシステムを指す.日常の病理標本の作製において固定時間を短縮することは,細胞・組織の形態保持や免疫染色の質に問題が生じる可能性があるため,overnightのホルマリン固定が原則となっている.さらに診断時間の制約は,病理医に心理的負担を与える恐れがある.したがって,標本受付から病理組織診断までは“next day or later”がふつうで,one-day-pathologyが可能な病理検査室であっても,一般的な運用システムとはなっていないのが現状と推察する.
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