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増刊号 血液形態アトラス
Ⅱ部 造血器腫瘍以外
8章 白血球系
1 伝染性単核症(IM)
Infectious mononucleosis(IM)
大金 亜弥
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1020-1021
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206196
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伝染性単核症は,EBV(Epstein-Barr virus)に感染することにより発症する急性感染症である.数日〜2週間程度持続する発熱,咽頭痛,頸部リンパ節腫脹の3つの臨床症状と,末梢血液中に異型リンパ球を認めることが特徴である.約半数に肝脾腫がみられ,約8割の患者に肝機能障害がみられる.
思春期に感染した場合,通常1〜3カ月で治癒する.しかし,乳幼児期で症状が遷延する例や,成人では劇症肝炎に進展する例が知られており,特に血球貪食症候群を合併する場合は致死的経過をとる可能性があり,多彩な合併症には注意が必要である.
EBVは唾液を介して感染し,既感染者からの輸血や臓器移植でも感染する可能性がある.季節性はない.一度感染すると潜伏感染状態となり,終生ウイルスキャリアとなる.2〜3歳までに感染率は7割前後に達し,ほとんどが不顕性感染である.
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