Japanese
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増刊号 血液形態アトラス
Ⅱ部 造血器腫瘍以外
8章 白血球系
2 デング熱
Dengue fever
大金 亜弥
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1022-1023
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206197
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デング熱は,フラビウイルス科フラビウイルス属のRNAウイルスであるデングウイルスの感染により発症する急性発熱性疾患である.ネッタイシマカやヒトスジシマカを媒介してヒトに感染する.アジア,中東,アフリカ,中南米,オセアニアで流行しており,年間1億人近くの患者が発生していると推定されている.わが国では,主に東南アジアを中心とする流行地域からの帰国者で発症する事例が多いが,2014年には海外渡航歴がない患者が都内を中心に全国的に続出し,話題となった.
媒介蚊は,デングウイルスを保有している患者の血液を吸血することでウイルスを保有し,この蚊が非感染者を吸血する際に感染が生じる.ヒトからヒトへの直接感染はない.感染しても,無症候性感染の頻度は50〜80%とされている.
デング熱の主症状は,発熱,全身倦怠感,頭痛,関節痛,筋肉痛,皮疹などである.血算では白血球減少や血小板減少を認めることが多い.発症すると通常は1週間前後の経過で回復する.しかし,一部の患者は経過中に血管透過性亢進を伴うデング出血熱へと進行し,このうち,デングショック症候群の病態になった患者を重症型デングと呼ぶ.重症型デングは,放置すれば致命率は10〜20%とされる.重症化する要因について,デングウイルスにはDENV-1〜5の5つの血清型があるが,血清型の異なるウイルスによる2度目の感染に起因するという説が強い.
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