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リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma:LPL)とWaldenströmマクログロブリン血症(Waldenström macroglobulinemia:WM)は類似した病態であるため,本項でまとめて記載する.
1.LPLとWMの定義
LPLはCD5陰性の低悪性度B細胞腫瘍であり,臨床経過は比較的緩やかである1).わが国では非Hodgkinリンパ腫の0.7%とまれである2).中高年に多く,男女比ではやや男性に多い.多くの症例で骨髄浸潤を認め,肝脾腫もしばしばみられる.一方,WMは,WHO分類第4版では「骨髄浸潤とIgM型M蛋白血症を伴うLPL」と定義されている1).大半のLPL症例で骨髄浸潤やIgM型M蛋白血症を伴うことから,LPLの多くはWMを合併していることになる.
2.LPLとWMに共通する特徴
骨髄やリンパ節で,小型〜中型の成熟リンパ球,形質細胞様のリンパ球や形質細胞の増殖を認める.肺などの節外病変もありうる.他の低悪性度B細胞リンパ腫,特にMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫との鑑別が問題となる.臨床症状では貧血,血小板減少,リンパ節腫脹,肝脾腫が高頻度に認められる.IgM≧3,000mg/dLでは過粘稠症候群を来しやすくなり,眼症状,神経症状などがみられる3).クリオグロブリン血症もしばしば認められる.多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)と異なり,骨病変や腎機能障害はまれである.進行は緩徐であるため,臨床症状がみられた場合に治療を検討する.一部の症例でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫への形質転換を認め,予後不良である.
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