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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
5章 成熟B細胞腫瘍
10 多発性骨髄腫(MM)
Multiple myeloma(MM)
吉川 直之
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.986-989
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206185
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形質細胞はBリンパ球がさらに分化した細胞であり,免疫グロブリン(IgG,IgA,IgD,IgE)を産生する.形質細胞が単クローン性に増殖したのが形質細胞腫瘍であり,多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM),意義不明の単クローン性γグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance:MGUS),原発性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)などが含まれる1,2).
MMは,その産物である単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)の産生や,貧血を主とする造血障害,易感染性,腎障害,溶骨性変化などの多彩な臨床症状を呈する疾患である8).高齢者に多い.骨髄腫の診断には,IMWG(International myeloma working group)の骨髄腫診断基準が広く用いられている(→表1)3,9).M蛋白の種類別の内訳は,IgG型約55%,IgA型約20%,Bence-Jones蛋白(Bence Jones protein:BJP)型約20%,IgD型3〜4%,非分泌型約3%となっており,IgE型やIgM型はきわめてまれである.診断の際は,①骨髄の形質細胞比率,②血清や尿のM蛋白の同定(免疫電気泳動,免疫固定法など),③臨床症状の評価(→表2)が重要である.症状のある場合は治療適応となり,新規薬剤も含めた化学療法,自家末梢血幹細胞移植などが行われる.
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