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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
5章 成熟B細胞腫瘍
8 有毛細胞白血病(HCL)
Hairy cell leukemia(HCL)
小野 佳一
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.982-983
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206183
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有毛細胞白血病(hairy cell leukemia:HCL)は,細胞質から飛び出した毛髪状の突起を持つ細胞(ヘアリー細胞)が特徴的な,低悪性度の成熟B細胞腫瘍である1).HCLはまれな腫瘍であり,HCL,有毛細胞白血病亜型(hairy cell leukemia-variant:HCL-v),日本型有毛細胞白血病(hairy cell leukemia-japanese variant:HCL-jv)の3病型に大別される.わが国では日本型HCL(HCL-jv)が多い2).HCLの平均発生年齢は約50歳で,男性に多い(男女比4〜5:1).
骨髄,脾臓で主に増殖し,脾腫を来す.末梢血中にヘアリー細胞が認められることもあり,肝臓,リンパ節や皮膚にも浸潤することがある.血液検査では,汎血球減少がみられ,特に単球減少が特徴的である.
HCL-vは,WHO分類第4版では,脾B細胞リンパ腫/白血病−分類不能群(splenic B-cell lymphoma/leukaemia - unclassifiable:SpLL-U)に分類されている.HCLに類似するが,白血球増加を示す,ヘアリー細胞が目立たない,芽球様で切れ込みのある核小体を有する核がある,酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(tartrate-resistant acid phopshatate:TRAP)活性が陰性,HCLに有効な化学療法(クラドリビン)に抵抗性があるなど,異なった特徴を有する.日本でみられるHCL-jvでは,しばしば顆粒リンパ球増多を合併する.
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