増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
1章 急性白血病
13 MLLT3-MLL融合遺伝子を伴うAMLとNPM1遺伝子変異を伴うAML
小野 佳一
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.884-887
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206151
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WHO分類第3版(2001)では,反復性遺伝子異常を伴う急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)の一病型として,11q23転座型AMLが細分類されていた9).しかし,11q23転座型白血病は,MLL遺伝子を含む転座かどうか,MLL遺伝子を含む転座であっても転座の相手遺伝子が何であるかによって病態が大きく異なる.そのため,WHO分類第4版では,t(9;11)(p22;q23);MLLT3-MLL融合遺伝子を伴うAMLが独立した病型となった2).t(9;11)(p22;q23)は,AMLで最も高頻度に認められるMLL転座である.
WHO分類第4版では,AMLにおいて新たに2つの暫定病型が設定された.NPM1遺伝子変異を伴うAMLと,CEBPA遺伝子変異を伴うAMLである.最近,染色体正常核型AMLにおいて,FLT3-ITD(internal tandem duplication),NPM1遺伝子変異,CEBPA遺伝子変異が予後に関連することが明らかとなった.FLT3-ITDは染色体正常核型AMLの予後不良因子であり,診断時に変異解析を行うことが推奨されている.一方,FLT3-ITD陰性例においては,NPM1遺伝子変異,CEBPA遺伝子変異は予後良好因子であることが報告されている.
本項では,当院で経験したt(9;11)(p22;q23);MLLT3-MLL融合遺伝子を伴うAMLおよび(暫定病型ではあるが)NPM1遺伝子変異を伴うAMLを提示する.
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