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Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫(B-lymphoblastic leukemia/lymphoma:B-ALL/LBL)の中には反復性遺伝子異常を伴うものが7種類存在し(→表1)11),WHO分類第4版(2008)では反復性遺伝子異常を伴うB-ALL/LBLとして独立した病型に定義されている2,3).最も代表的なのは前項で述べたBCR-ABL1を伴うB-ALL/LBLであるが,その他MLL遺伝子再構成B-ALL/LBL,TEL-AML1(ETV6-RUNX1)を伴うB-ALL/LBLなどがある.
1.MLL遺伝子再構成B-ALL/LBL(症例1)
11q23領域に存在するMLL遺伝子と他の染色体上の遺伝子間の転座を有する病型である.11q23欠失のみでMLL遺伝子再構成を伴わないB-ALLは含まれない.MLL遺伝子再構成は,1歳未満の乳児ALLでは70〜80%で認められるが,1歳以上の小児・成人ALLでは5〜10%とまれである.
t(4;11)(MLL-AF4)が最も高頻度で,1歳未満の乳児ALLの60%以上にみられ,予後不良である.成人ではまれであるがみられた場合は同じく予後不良である.t(4;11)を伴うALLでは白血球数が多くしばしば10万/μLを超え,中枢神経系浸潤がみられるのが特徴的で,芽球はFAB(French-American-British)分類のL1またはL2の形態を示す.骨髄系マーカーがしばしば陽性となる.またMLL転座をもつ白血病は比較的高頻度にFLT-3の過剰発現がみられることが分かっており,FLT-3阻害薬が治療薬として注目されている.
2.TEL-AML1(ETV6-RUNX1)を伴うB-ALL/LBL(症例2)
12番染色体上のTEL(ETV6)遺伝子と21番染色体上のAML1(RUNX1)遺伝子の相互転座を有する病型である.小児の約25%にみられるが,乳児・成人ではまれである.治癒率が90%を超え予後良好で,染色体のhyperdiploidyと関係がある.CD10の高発現や骨髄系マーカーの共発現がみられる.
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