オピニオン
子宮頸がん検診と細胞診—世界と日本:細胞検査士のこれから
小林 忠男
1
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
pp.808-809
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206032
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子宮頸癌の発見と細胞検査士の誕生・養成
現代の細胞診は,子宮頸癌の発見と診断に重要な役割を果たした.また,今日の安定した診断法の確立は,Papanicolaou博士の貢献によるところが大である.1942年,博士によってPap(Papanicolaou)染色法がScience誌に紹介され1),標準法として使用されることとなった.さらに,1947年には,Papanicolaou博士が主催する「第一回細胞診教育コース」が,細胞検査士を含む医師など75余名の参加者で始まったとされている.専門職としての細胞検査士はここにその教育が開始された.1955年にはシカゴ大学Wied博士によって国際細胞学会が設立され,細胞診断学は世界的な広まりを見せた.
その細胞診技術の有用性を受けて,日本においても細胞検査士の養成が急務とされ,本格的な教育が始まったのは1966年,米国の細胞検査士の養成コースの開校に遅れること5年であった.システム化された細胞診養成コースの開始は,1968年に東京(旧癌研究会附属病院)と大阪(大阪府立成人病センター)で始まった.このように日本の細胞診は,黎明期から米国の影響を大きく受けることになった.
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