Japanese
English
特集 細胞診
腟および子宮頸の炎症の細胞診
Cytologic diagnosis of inflammation of vagina and uterine cervix
水野 重光
1
,
丹野 幹彦
1
Shigemitsu Mizuno
1
1順天堂大学医学部産婦人科学教室
pp.357-362
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203268
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はじめに
子宮頸部は,帯下の分泌源として重要な部位となつている。帯下は頸部の疾患によつて生ずることが多いが,時には頸部を取囲む腟の炎症から二次的に起こる。また頸部に始まつた炎症は腟における性状の防禦力を抑えて感染を起こすようになる。しかし生理的に存在する障壁があるので,炎症が長期間に亘りそれら組織のいずれかに限局し,隣接臓器を侵すことなく存在しうることは注目すべきことである。下部性器の炎症がこれら臓器の一つまたは両者に波及する様子を理解するためには,頸部と腟の解剖学的関係,特に組織学,細胞学,生理学,生物学上の相違ならびに関連性について熟知している必要がある。本稿ではこのうち頸部と腟における炎症の細胞診について述べるが,それには頸部と腟感染との関連性および両部位炎症の主因などの概略を知る必要があるので,はじめにそれに触れてみたい。
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