トピックス
補体の遺伝性
高橋 守信
1
1金沢大がん研究所
pp.552
発行日 1988年6月1日
Published Date 1988/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205814
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補体は20種以上の血清蛋白と,6種以上の膜蛋白(補体レセプターや補体調節膜蛋白)から成る反応系の総称である.これら蛋白は協同して,生体防衛反応やアレルギー反応に働いている.
補体蛋白の多くは主として肝臓で産生されている.個々の補体蛋白は別々の遺伝子によって支配されているが,補体第2成分(C2),B因子,それに補体第4成分(C4)の遺伝子は,ヒトでは第6染色体のHLA遺伝子の近くにまとまって存在している,実はC4は2種類のタイプ(C4AとC4B)から成り,普通のヒトは両方とももっている.C4AとC4Bは相接した二つの遺伝子(C4AとC4B)によって指令されている.補体第3成分は,ヒトでは第19染色体上に存在する.それ以外の補体蛋白ではどの染色体上に存在するか,というのはわかっていない.ただ興味深いのは,補体を調節する機能をもつ血清蛋白(H因子,C4結合蛋白)と膜蛋白(CR 1)の遺伝子群が,同じ染色体の近接した領域に存在していることである.
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