トピックス
メチシリン耐性ブドウ球菌におけるペニシリン結合蛋白
生方 公子
1
1帝京大臨床病理
pp.551-552
発行日 1988年6月1日
Published Date 1988/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205813
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最近,大規模な病院になるほど,多くのβ-ラクタム系薬剤に耐性を示す黄色ブドウ球菌の割合が増加してきている.本菌は,メチシリンをはじめとするペニシリナーゼ耐性のペニシリンや第一世代から第三世代のセフェム系薬剤に耐性を示すが,最初の報告がメチシリン耐性という言葉を用いていたために,この種の菌はメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)と呼ばれ,感性菌の場合にはメチシリン感性ブドウ球菌(MSSA)と呼んでいる.
そもそも,MRSAはメチシリンがヒトに投与され始めた数年後にすでに分離されているが,その耐性機構については薬剤を不活化する耐性ではないという事実以外は,あいまいな点が多かった.しかしながら,1970年代の半ばになり,細菌の細胞壁合成に関して,その網目状構造をしたペプチドグリカンを合成する酵素を14C-ベンジルペニシリンを用いて検出できる手法が考えられると,その手法を用いてMRSAとMSSAとにおける違いが検索された.ちなみに,14C-ベンジルペニシリンを結合させることによって検出することから,それらの酵素はペニシリン結合蛋白(penicillin-bindingprotein)と呼ばれている.
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