技術講座 細菌
プラスミドの検出と解析法
和地 正明
1
,
松橋 通生
1
1東京大学応用微生物研究所
pp.37-41
発行日 1989年1月1日
Published Date 1989/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204831
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サマリー
細菌の薬剤耐性などの遺伝子を運んでいるプラスミドは,細胞質内で自己複製する比較的低分子の環状DNAである.プラスミドは理論上すべての細菌に存在しうるが,そのうち薬剤耐性の獲得に関与するものをR因子と呼ぶ.このR因子は同種または近縁種の細菌の細胞から細胞へ,場合によっては種や属を超えて伝播することがあるので,化学療法上重要な問題である.一方,プラスミド中の複製に関与する部分にマーカーとしての薬剤耐性遺伝子をつなげたものがプラスミドベクターと呼ばれ,最近の遺伝子組換え技術に欠くことのできない武器となっている.ここでは薬剤耐性遺伝子を含むプラスミドの検定のため,比較的簡単に行えるプラスミドの抽出と検出法を,主として大腸菌の遺伝子組換え実験の知見をもとにして述べてみたい.
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