今月の主題 補体
技術解説
螢光抗体法による補体の検出
馬杉 洋三
1
1日本医科大学・第1病理
pp.994-1002
発行日 1980年9月15日
Published Date 1980/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915561
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螢光抗体法により特定の組織に同定される各種血清成分の沈着のうち,特に免疫グロブリンに伴った補体成分の沈着の確認は,両者が同一の分布形式をとっている場合は血中からその部分への免疫複合物の沈着の事実か,あるいは沈着部位の組織成分自体,またはそこに既に結合している外来成分を抗原としたin situでの免疫複合物の形成を意味し,特に当該組織に何らかの機能形態異常を認める場合には,補体成分沈着の関与は組織障害性の免疫複合物の立証と考えるのが普通である.補体C3以降の後期反応成分のみの沈着で免疫グロブリンを伴わない場合でも,当該組織に障害がみられるならば,抗原抗体結合物以外の何らかの誘発因子による,補体alternative pathway活性化にかかわる組織障害の可能性もある.しかし一方では補体成分が抗原抗体結合物へ関与して,それを可溶化不活化するというin vitroの実験的事実もある.
以下,筆者は螢光抗体法一般の基本的技術的な面の記載の後,実例として特にヒト糸球体腎炎各型についての,定型的生検例腎糸球体に見られる自己補体成分沈着の状況について述べるが,ほかに腎凍結切片上に新鮮モルモット血清を重層することにより,糸球体において新たに活性化沈着するモルモット補体成分の動向についても述べ,両者を糸球体の形態的障害度と比較のうえで,組織に沈着する補体の意義について考察したいと思う.
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