けんさアラカルト
尿蛋白電気泳動で発見された「異常蛋白尿症」の一例
渡辺 信子
1
1東京大学医学部附属病院中央検査部
pp.958
発行日 1988年7月1日
Published Date 1988/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204656
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一般的に尿検査は,身体に苦痛を加えずに検体が得られ,全身状態や腎臓・尿路系の変化を反映して多くの情報が得られるので,診療には欠かせない検査となっている.しかし,多くの場合,尿検体は患者自身が採取するため,検体の採取から検査まで完全に管理されている血液検体などと異なり,検査室側で管理できない空白の時間帯がある.
ここに紹介する「異常蛋白尿症」は,患者がみずから膀胱に異種蛋白を混入し,検査室ではこの外因性の蛋白を人体由来のものとして検索した例である症例:16歳の女性.13歳ごろから高蛋白尿症と背部痛があり,数施設を受診したが,原因がわからなかった.蛋白尿と顔面浮腫を主訴に本院を受診し,精査のため入院.入院中も時々発作的に起こる強い背部痛を訴えた.腎生検など系統的かつ詳細な検査が行われたが,蛋白尿と背部痛の原因は解明されなかった.
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