マスターしよう検査技術
β-ラクタマーゼの検査法—酵素の活性測定と基質特異性の求めかた
井上 松久
1
,
平岡 聖樹
2
,
岡本 了一
2
1群馬大薬剤耐性菌実験施設
2エピゾーム研究所
pp.239-243
発行日 1988年3月1日
Published Date 1988/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204436
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最近,新しいβ-ラクタム剤が臨床で次々と使用されている.そのため細菌検査室でも種々のβ-ラクタム剤の検査を実施していると思う.結果はどうであろうか.すでに耐性菌の分離率に変化のみられる菌種,施設があるかもしれない.
β-ラクタム剤耐性菌の耐性機構は,外膜蛋白質の変化に伴う透過性の減少,β-ラクタム剤加水分解酵素β-ラクタマーゼによる薬剤の加水分解,薬剤の標的蛋白質(PBP)の変化等々による.この中で,臨床分離細菌から最も頻繁に分離・検出される耐性菌はβ-ラクタマーゼ産生菌である.したがって,β-ラクタマーゼの活性の強弱を知ることは,耐性値,薬剤が効くか効かないかを知ることでもある.さらに薬剤耐性遺伝子の細胞内存在,プラスミド性か染色体性かも知ることもできる.ここでは,私たちが日常行っているβ-ラクタマーゼの定量法について解説する.
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