技術講座 微生物
β-ラクタマーゼの分類
石井 良和
1
1東邦大学医学部微生物学教室
pp.859-866
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903602
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
新しい知見
β-ラクタマーゼは従来,基質特異性,分子量,等電点,抗体との反応性などをもとに分類されていた.しかし,以前,広域スペクトルを有するセファロスポリナーゼとして分類されていたProteus velgarisのβ-ラクタマーゼは,構造遺伝子のDNAの塩基配列が決定されると,実はペニシリナーゼに分類されるべきであることが明らかとなった.また,第三世代セフェム系抗菌薬を分解する基質特異性拡張型β-ラクタマーゼも構造遺伝子の塩基配列の決定から,ペニシリナーゼの一種が突然変異を起こしたものであることが明らかとなった.このように,β-ラクタマーゼを分類する場合,基質特異性や生化学的性状のみを参考に分類するのは危険で,β-ラクタマーゼのアミノ酸配列をもとに分類すべきであると考えられている.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.