技術講座 病理
プラスチック包埋標本と組織化学
瀬野尾 章
1
1防衛医科大学校第二病理
pp.822-826
発行日 1987年6月1日
Published Date 1987/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204179
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プラスチック(樹脂)包埋法というのは,もともと電子顕微鏡(電顕)による細胞の微細構造観察のために考案されたもので,最初はアクリル系樹脂,その後スチレン,ポリエステル,エポキシ樹脂などを用いる多くの方法が開発されている.しかしながら,光学顕微鏡(光顕)標本作製のための樹脂包埋法はその歴史が浅く,近年になり本格的研究が行われているといっても過言ではない.
樹脂包埋標本の光顕的観察は,電顕と光顕とのギャップを解消するために,樹脂包埋を施した電顕用ブロックから1〜2μmの準超薄切片を作製し,塩基性色素(トルイジンブルーなど)で単染色し,光顕的に観察したことに始まる.このような電顕ブロックから作製した光顕標本は,従来のパラフィン包埋標本に比べて組織構築,細胞内構造の保存に優れ,子細な細胞学的観察を可能にすることが判明し,パラフィン包埋に代えて樹脂包埋法の光顕への応用が試みられた.
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