マスターしよう基本操作
電顕標本の作り方・1—切り出しから包埋まで
鈴木 克哉
1
1日本医大病院中央電顕室
pp.381-384
発行日 1976年5月1日
Published Date 1976/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201064
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電顕標本の作製過程は光顕の場合の手順に非常に類似しているが,(1)電子顕微鏡の分解能が数オングストロームのオーダーであること,(2)電子線の透過力が可視光線に比較して弱いこと,及び超微細構造を解像するためには,数百オングストロームという非常に薄い切片を作製しなければならないこと,(3)鏡検の際,標本が高真空内で強い電子線の照射を受けること,などの厳しい条件が要求される.従って,初めの固定操作の段階から慎重に行い,組織の自家融解や固定不良などに起因する人工産物を防止すること,また脱水以降の操作においても細心の注意を払う.樹脂の硬化が不完全なため薄切を困難にしたり,あるいは,電子線の照射に耐えられないようなブロックを作らないようにしなければならない.
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