技術講座 病理
パラフィンに代わる新しい包埋法による標本作製—アクリトロン包埋法の実際
瀬野尾 章
1
,
高橋 宏治
2
,
松田 祐子
1
1秋田大学医学部第一病理
2三菱レーヨン株式会社新規開発部
pp.808-812
発行日 1981年10月1日
Published Date 1981/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205375
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パラフィンに代えて樹脂を用いる包埋法は,近年になって研究ならびに実用化が活発に行われている.なぜならば,樹脂包埋標本はパラフィン包埋標本に比べ,標本作製過程で生じる歪み(distortion)が少なく,組織構築,細胞内構造の保存に優れており,仔細な細胞学的観察ができ,また酵素組織化学や免疫組織化学的検索も可能で,さらに同一ブロックから直接電顕的な検索も可能であるという多くの利点を持っているからである.このような利点を考えたならば,パラフィンに代わっての使用頻度は今後ますます多くなるものと思われる.
今回は我々が開発したアクリトロン包埋法を中心にして標本作製過程(図2)における技術的な面を具体的に解説するが,パラフィン包埋法においてはなじみのうすい点,特に酵素組織化学的手技について詳細に述べることにする.
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