検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
NCCLS標準法3—嫌気性菌の薬剤感受性測定法
小栗 豊子
1
1順天堂大学病院中央臨床検査室
pp.789-794
発行日 1987年6月1日
Published Date 1987/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204171
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つい最近まで,嫌気性菌の薬剤感受性測定法は厳密には,寒天平板希釈法により測定する以外に適切な方法は存在しなかった.わが国では,好気性菌に用いているディスク法がそのまま嫌気性菌にも応用されている.しかし,この方法で得られた成績が患者の治療に反映されるものであるか否かについて,正確に答えることは難しい.嫌気性菌は好気性菌と比べると,培養方法,培地,培養時間などを異にしていることが,両細菌間の成績に疑問を抱かせる原因であろう.
寒天平板希釈法を嫌気性菌の薬剤感受性測定法として日常検査に用いることは操作が繁雑であり,むだも多い.このため,NCCLS(臨床検査標準委員会)より,日常検査用の試案が出された.本号では嫌気性菌の薬剤感受性検査はなぜ困難なのか,また,どのような方法を用いることが許されているのか,などの点について,NCCLSの文書を中心に述べてみたい.
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