マスターしよう基本操作
ガスクロマトグラフィーを用いた嫌気性菌の同定
渡辺 邦友
1
1岐阜大学医学部付属嫌気性菌実験施設
pp.243-249
発行日 1987年3月1日
Published Date 1987/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204016
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嫌気性菌の分類においては,他の菌群の分類におけるとは異なり,ガスクロマトグラフィーによる代謝産物の分析パターンが重要な鍵の一つとして用いられている.嫌気性菌には,揮発性脂肪酸(ギ酸,酢酸,プロピオン酸,イソおよび正酪酸,イソおよび正吉草酸,イソおよび正カプロン酸)や,難揮発性脂肪酸(乳酸,コハク酸など)の産生パターンに特徴的なものが多い.したがって,属の特徴としてこの脂肪酸産生パターンが掲げられているわけである.例えば,正酪酸を主要に産生するFusobacterium,プロピオン酸を主要に産生するPropionibacterium,乳酸を主要に産生するLactobacillusなどである.
このような理由から,ガスクロマトグラフィーを用いて,代謝産物の分析を行うことが,嫌気性菌の正しい同定への近道である.近年市販されるようになった発色基質を用いた新しい型の簡易同定キットとの併用で,迅速かつ正確な嫌気性菌の同定が可能となるであろう.
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