技術解説
ガスクロマトグラフィーによる嫌気性菌の同定
上野 一恵
1
,
渡辺 邦友
1
1岐阜大学・微生物
pp.1063-1067
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914497
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バーギー8版(Bergey's Manual of Determina-tive Bacteriology 8th cd.,1975)及びVPI ma-nual1)では,嫌気性菌の属(Genus)の分類には①形態,②芽胞,③グラム染色性,④鞭毛,⑤終末代謝産物を重要視している.特に代謝産物としての揮発性脂肪酸(Volatile fatty acid;VFA),難揮発性脂肪酸(Nonvolatile fatty acid;NVFA),アルコール類などの分析は,嫌気性菌の同定に極めて重要かつ有用である.現時点では,代謝産物としての脂肪酸の分析なしに嫌気性菌の同定はできないと言っても過言ではない5).例えば,無芽胞嫌気性グラム陰性杆菌であるBacteroidaceae(科)で,イソ酪酸あるいはイソ吉草酸を産生しないで,正酪酸のみを産生する菌群はFusobacter-ium属である.正酪酸を産生しない菌群(例外:B.PraecutusとB.melaninogenicus subsp.asaccha-rolyticusは正酪酸を産生するが,必ずイソ酪酸とイソ吉草酸も同時に産生する)はBacteroides属である.また,Bacteroides属はコハク酸を産生する.乳酸のみを産生する菌群はLeptotrichia buccalisである.
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