今月の主題 細菌性食中毒
技術解説
ガスクロマトグラフィーによる細菌の同定
駒形 和男
1
,
鈴木 健一朗
2
Kazuo KOMAGATA
1
,
Ken-ichiro SUZUKI
2
1東京大学応用微生物研究所
2理化学研究所微生物系統保存施設
pp.627-632
発行日 1983年6月15日
Published Date 1983/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911889
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生体成分に基づく分類学,いわゆる化学分類学は,生育条件の異なる生物間でも比較できるので,系統を論ずる分類学でも重要な役割を担い,最近ではかなりのデータが蓄積されてきている.一方,機器分析は熟練や経験への依存度が低く,特に最近は自動分析機も進歩し,人較差が最小限に抑えられている.分類・同定の指標は,安定した性状で再現性があること,分類群内では類似度が高く,他の分類群とは区別できる差異があることが必要である.細菌の菌体脂肪酸は,上記の要求を満たす,重要な分類学的知見である.
細菌の菌体脂肪酸は,多くは膜脂質としてリン脂質やリポ多糖などの形で存在しており,表1に示すようにバラエティーに富んでいる.生合成経路もかなり解明され,組成の違いも意味づけされている.菌体脂肪酸組成の研究は広範囲の細菌について行われ1〜4),臨床細菌学への応用も早くから手がけられている5).
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