コーヒーブレイク
神社仏閣あれこれ
S.T.
pp.1204
発行日 1986年10月1日
Published Date 1986/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203883
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神社仏閣の御利益も時代と共に変わる.戦時中は,どこへ行っても武運長久であったが,終戦後は緑結び,安産,子宝の神になったり,最近は合格必勝の神になったりしている.また,お寺も高齢化社会に因んで,ボケ封じ観音とかポックリ寺(これは,ポックリ死を望む寺)など出現してきた.実際に,京都のボケ封じ観音やポックリ寺に行ってみると,案外多くの老人が行っているのにびっくりさせられる.信仰というものは,理屈ではなく,弱い心を救うものであると思った.
ところで,京都は古都税問題で昭和60年7月より多くの寺が拝観停止の挙に出たが,8月の市長選挙で一時和解が成立したかと思うと,また12月より11の寺が拝観停止をした.今年に入って,このうちのいくつかの寺が志納金方式をとって拝観を認めるなど,世論をかき立てている.寺側に味方するもの,市長側に味方するものいろいろである.門を閉鎖しているお寺は,清水寺,金閣寺,銀閣寺をはじめ,最も参拝者の多い寺だけである.見せないというと見せるという気持がわくのは当然であるが,何のための参拝か拝観なのかわからない.信仰のためか,仏像や絵画や建築などの文化財の鑑賞のためか,行ったというメンツだけがほしいのか,皆んなが行くから自分も行くのかわからないが,どうやら,後二者のために多くの人々が行くように思える.
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