トピックス
毒素原性大腸炎
太田 建爾
1
1東京都立衛生研究所
pp.1099-1100
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203217
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大腸菌(Escherichia coli)はヒトや動物の腸管内常在菌である.大腸菌のヒトに対する感染症は尿路感染症と腸管感染症に大別される.腸管感染症すなわちヒトの食中毒や下痢症を起こさせる大腸菌を腸炎起病性大腸菌と呼んでいる.
腸炎起病性大腸菌は,その発症機序の違いから一般に組織侵入性大腸菌(Enteroinvasive E. coli;EIEC),毒素原性大腸菌(Entero-toxigenic E. coli;ETEC),いわゆる病原大腸菌(E. coli of entero-pathogenic serotype;EPEC)の3種に分けられている.すなわちEIECは大腸粘膜に侵入して病変を作り,赤痢様の症状を呈する大腸菌で,8種の血清型が知られている.EPECは古くから小児や成人の下痢症の原因菌として注目された大腸菌であるが,その発症機序は現在のところ解明されていない.なお,本菌は我が国では12種の血清型が知られている.
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