基礎実習講座
異染小体染色法
池田 政勝
1
1東海大学病院中央臨床検査部
pp.929-932
発行日 1984年10月1日
Published Date 1984/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203171
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異染小体(metachromatic granules)は細菌,真菌,藻類,原生動物に認められる,分子量が非常に大きなポリメタリン酸から成る顆粒で,高エネルギー源と考えられている.BabesとErnstによって発見されたためBabes-Ernst小体とも呼ばれ,またMeyer1)はボルチン顆粒(voltin granules)と命名している.細菌においては原形質内に直接認められるが,原子単細胞生物では液胞内に存在すると考えられている.異染小体の細胞学的特性はWinklerによって研究されている3).
本小体はpH1.5〜2.0の酸性下で染色すると他の菌体より濃染し,吸収スペクトルの最大吸収波長のずれにより本来の色素と異なった色調を呈し,その名のごとく異染色性(メタクロマジア;metachromasia)を示す.この特性を利用したのが異染小体染色であり,臨床細菌検査においてはもっぱらジフテリアの早期推定,Corynebacterium属,特にジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)の同定の一助として用いられている.
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