私たちの本棚
"大根の顔"を求めて—愛の鬼才—西村久蔵の歩んだ道—三浦綾子 著
鈴木 裕子
1
1同愛記念病院研究検査科
pp.720
発行日 1984年8月1日
Published Date 1984/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203113
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今年は東京も,例年になく何度も雪に見舞われ,寒い思いをしたが,必ず訪れる春の暖かい陽差しを待ちわびつつ日を過ごした.この,誰にでも公平に光を注ぎ暖めてくれる太陽のように,人をこよなく愛し,自らを捨て,だれかれと分け隔てなく,深い情熱と誠実さを持って人のために尽くし,触れ合うすべての人の心に底知れぬ愛の楔を打ちこんで接してこられた偉大な西村久蔵先生の生涯を読み,心中貫かれた感動の嵐をどうすることもできなかった.
著者三浦綾子さんも,「愛とは過去にならない事,先生は大根のような方でした.大根はどこを切っても大根です.先生の生涯のどこを切っても同じ顔が現われるのです.私達はともすれば,時と所によって異なった顔を見せるのに,先生はそういう方ではなかった」と語っておられる.
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