けんさアラカルト
Haemophilus属菌同定法の曲折
川上 由行
1
1信州大学病院中央検査部
pp.752-758
発行日 1984年8月1日
Published Date 1984/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203122
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1.Haemophilus属同定の問題
従来,Haemophilus属菌の同定では,XおよびV因子の要求性,溶血性および分離部位などから菌種が決定されてきました.つまり,X,Vの両因子要求性で溶血性がない場合は,眼脂から分離されればH. aegyptiusとし,それ以外からの分離株H. influenzaeと同定されてきました.しかし,性状が同一でありながら,分離部位が異なるために菌種が異なるというのは,あまりにも非科学的な分類でした.
E. coliは,便から分離されようが,尿から分離されようが,あるいは胆汁から分離されようが,E. coliであって,分離された部位が菌種決定を左右することなど,他の菌種には例がないと考えられます.呼吸器系感染症由来のH. influenzaeを眼にすり込んで,結膜炎を引き起こすことができれば,その菌種はH. aegyptiusと同定されるのでしょうか.
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