けんさアラカルト
ビタミンCと進化
有馬 天児
1
1済生会八幡病院中央検査室
pp.616
発行日 1984年7月1日
Published Date 1984/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203096
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人間より下等と思われているイヌやネコなどの動物にもヒトより明らかに優れた点がある.その一つは,ビタミンCの合成能力をもっていることである.
ビタミンCの自給ができないのは,高等動物ではほとんど人間とサルだけと言える."個体発生は系統発生を繰り返す"というE.H.Heckerの説に従うと,これは高等化に伴い,なんらかの突然変異が起こってビタミンC合成能力が消失したためであろうと考えられる.例えば,人間でも生後10か月ほどまでの乳児は,自前でビタミンCを作れるのである.これは血球が肝臓で生成される時期と,はからずも一致する.つまり,この頃までの子供はある意味で大人と別の生き物だとさえ考えられる.
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