特集 眼科臨床の進歩Ⅰ
白内障とビタミンC
宇山 安夫
1
,
荻野 周三
2
1大阪大學眼科
2大阪大學眼科教室
pp.898-902
発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201321
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いとぐち
ビタミンCの發見は他のB1,B2に比して決して新らしいものではないが,その生理的意義は他のビタミン類が解明されているにもかかわらず,全く不明と云つて良い現状である。水晶體,房水に多量のビタミンCが存在する事が判つたのもふるく1928年古武先生のビタモザツオンの研究を嚆矢とするが,現在まで生化學者,眼科學者の多數の研究がなされたにもかかわらず,現在のところ漫然とビタミンCが水晶體酸化還元に關與していると考えられているにすぎない。又白内障とビクミンCとの關係についても,水晶體溷濁時減少するビタミンCが一次的原因によるものか,二次的原因によるものかは今尚確定されてはいないのである。
それで私等は水晶體のビタミンCをもう一度考えなおそうと思つたのである。しかもこの場合,從來の方法とは異り,最近飛躍的な進歩をとげた酵素學に立脚してこれを代謝面よりダイナミツクに把握しようとしたのである。そして幸いにも水晶體のビタミンC代謝に關して,又白内障に關しても,いささかオリヂナルに富んだ新事實を發見する事が出來た。
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